相手の話に耳を傾けて、相手の心を開いて、円滑なコミュニケーションを図るためには、傾聴のスキルを駆使する以前に先ず、コミュニケーションの環境設定が必要です。会話を行う場合、多くの場合リスクや緊張を伴います。その場の緊張を解き、安心して会話に臨むことが出来る雰囲気を醸すことが大切です。
この環境設定には、2つの側面があり、外部環境面と内部環境面とに分かれます。外部環境面は、騒音や温度・湿度・清潔さなどの環境と、話を聞かれては困る人が近くにいないかなどの安全面での環境です。また、会話の生産性を高めるために会議室や応接室の照明やテーブル、椅子のデザインなどにコストをかけている企業も現れてきました。ドリンク類を用意することも、環境設定の一つになります。

内部環境面は、主に以下の3つのポイントがあります。

ポイント1)表情や笑顔

笑顔は、相手への親しみを醸しだし、あなたの話を聞きますよというメッセージとなります。笑顔に自信の無い人もある人も、時折鏡を見て練習すると良いと思います。また、適度なアイコンタクトは必要です。会話中、一度も目を合わせない人の話を信用できるでしょうか?適度に目線を合わせることは大切です。また、意味も無く首をかしげる、あごを突き出すような動作には気をつけたいものです。

ポイント2)相手を受け入れていることを伝える態度・姿勢

姿勢やジェスチャーで、相手にあなたを受け入れていますよと伝えることは有効です。
相手の話に頷き、相槌を打つ。時には、身を乗り出して話しを聞く。こういった態度を相手に積極的に見せていくことが、聞いてもらっている、受け入れてもらっているという気持ちを相手に醸し出します。そして、安心感が芽生えて、より話しやすい状況を創っていきます。逆に、腕組みをする足を組むなどの姿勢や、斜に構える、足を投げ出すなどの態度は相手を軽んじ、拒否しているというイメージを与えます。

ポイント3)パーソナルスペースを把握する

人は安心して会話が出来るための一定の距離感を持っています。個人によってその距離感は異なります。これをパーソナルスペースといます。通勤電車で不快に感じるのは、他人が自分のパーソナルスペースを侵しているからです。また、座って対話する場合の角度に配慮することが有効です。正面で向かい合う場合は、最も緊張感を伴います。また、カップルがカウンターに並んで座るような同じ向きで並ぶ場合は、一番親近感があるといわれます。職場などで会話するには、45度の角度で座るとリラックスして話しあえるといいます。最近、MBOなどの上司と部下との面談場面では、この45度で環境設定を活用することが浸透してきているようです。

パーソナルスペースは、個人によって異なる場合があります。ですので、互いに心地よい状況を設定していくといいでしょう。「この位離れると話しやすい?」「角度はどう?このくらい?」「右側に来る?左側が落ち着くかな?」などと、会話をしながら椅子を持って好ましいスペースを確保してはいかがでしょうか?

著:時田文啓→360サポーターズ

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