イニシアティブの発揮というのは、多くの場合が主導権を握り、強烈な統率力で組織の進行を率いる、というような感じを受けることになるのではないか。
イニシアティブを発揮して、組織の運営を行い、結果を出して人にお会いすると、どうもその言葉から受ける印象と、表面的なやり方には、かなり違いがあるような感じがするのである。
イニシアティブを握って組織を運営する人というのは、だいたいにおいて、組織の要員の納得感を得ることに、非常に気遣いをしているということを強く感じるのである。もちろん、時には強く要員を率い、厳しく対処するということもあるだろうが、逆に、それらの各場面で、ある統一されたイメージをその人が醸成している事に気づくのである。簡単に言ってしまうと、それは、どのような場面においても、組織を出来る限り公正に率いようとする全体的な視点を持とうという気遣いをしているということになるのではないかと考えている。
そのように考えると、イニシアティブの発揮に必要な要素は、要員の受け入れと、内外の調整への配慮を根底に敷いたリーダーシップにあるのではないかと思われる。たとえ、これがワンマンなリーダーには当てはまらないような感覚を与えたとすると、それはここでの取り上げ方が悪かったことになり、意図するところではない。ワンマンである場合でも、先の要素を含んだワンマン性には、決定するときに、精一杯要員のことが考えられていることがおおいにあり得るわけである。
マネジメントにおいてこのように表現するのは適切なことではなく、これらは言葉にして表現するのは、きわめて難しい事であると言える。現在、組織において様々な形でその手腕を発揮している人においては、このような指導力やイニシアティブを発揮する場合のあり方などについて、伝達することが極めて困難であることと、日々向かい合い、その困難を乗り越えようとしている人も多いことであろう。この時、同時に考えるべきは、伝えられる環境を整備し、より多くの人を集め、定着させることができる仕組みの整備であり、これらは伝達が困難であるという要素の補完に、大いに役立つと考えられる。
伝わり難い事柄を、より伝達しやすくし、また補完するものとして、マネジメントのあり方を考えることは、多くの責任を負う企業にとって、極めて重要な意味をもつものである。
著:佐藤創紀 →360サポーターズ