チームワーク促進力といえば、チームリーダーがどのようなチームマネジメントをするかが鍵といえよう。リーダーがメンバーのモチベーションを高めて、個々の力を最大限に引き出し、チームとしての成果を最大にしていくにはIQアプローチとEQアプローチの両面からマネジメントする必要があると考える。
IQアプローチ
- 正確なデータに基く的確な状況分析力
- 的確な分析の下に練り上げられた正しい戦略及び実行施策の立案
- データを示しながら論理的に説明し伝える力
IQアプローチを高めていくには、正確な情報を把握する仕組み作りと発生する様々な問題の本質を究明する問題分析力の強化が求められる。チームの成果獲得に向けて、取り組むべき課題や、課題達成への効果的な施策を導出するこれら論理的思考スキルの向上や、SWOTや3Cなどの分析ツールや戦略立案プロセスを修得することが求められる。
EQアプローチ
- 現場に足を運び、生の情報やメンバーの声に耳を傾け他者や物事に強い関心を持つ情熱目に見えない状況や、メンバーの本音をも敏感に感じ取り、気づく力
- メンバーとの共感性を育み、相手が受け取り易いコミュニケーション・パターンを以って伝える力
EQアプローチを高めていくには、メンバーとインタラクティブな(双方向の)コミュニケーションを図りながら、テーラーメード(個別対応)のマネジメントをしていくことが求められる。
そもそもコミュニケーションは、インタラクティブなものであり、片方が情報を投げて相手がそれを受け止めて、情報を投げ返すことにより成り立つ。リーダーからの一方通行のコミュニケーションは、得てしてリーダーのポジションパワーによる押し付けや共感性の不足により、メンバーが本音ではリーダーからの情報(指示・命令や提案・要望など)を受け取らない(受け取れない)状況を招く事がある。チーム目標達成にむけて、リーダーとメンバーがまたメンバー同士が、双方向でアイデアを出し合い、本音で検討を重ねていく状況をつくることが必要だ。
次に、メンバー一人ひとりの顔や性格が異なるように、メンバーによって情報処理の方法やものの考え方、言葉の受け取り方が異なることを覚えておきたい。
複数のメンバーに同じ内容のものを話しても、人によって受け取り方は違うし、行動のとり方やスピードも違う。同じ話をしてもビジュアル指向の人は、言葉を聞きそれを処理する過程で、イメージを具体的に思い浮かべて受け止め、判断する。だから相手がビジュアル化しやすいような話の仕方や情報の投げ方が必要となる。ロジカル指向の人は、言葉の内容をデータとして捉えて客観的に判断しようとする。
だから、説得や要望をする際にはその論拠・裏づけ・理由を明確に示さないと判断できない。皮膚感覚指向の人は、聞いた感じが自分にとっていい感じか心地悪いかで判断しようとする。
理屈を並べるよりは、肩をたたいて「君ならば、絶対大丈夫。頼むよ!」と要望すると意気揚々と行動に移ってくれる。これを、ロジカル指向の人にすると、「ええっ!? 何がですか? 馬鹿にしてませんか?(肩、痛いじゃないか!)」といった反応になる。
ロジカル指向の人には、確固とした理由が必要なのである。
人はそれぞれ違うということ。ひとつのパターンではなく相手に合わせたコミュニケーション、言わばテーラーメード(個別対応)のコミュニケーションが求められるのである。
リーダーは、メンバー個々に関心を持ち、彼らのコミュニケーションのパターンを掴んでマネジメントしていくことが必要なのである。
著:時田文啓→360サポーターズ