反省という言葉はマイナスイメージが強いが本来は「振り返って、省みる」こと
「反省」という言葉は消極的、マイナスのイメージが強いものです。「反省しなさい」ということを幼い頃に何度となく聞かされるためでしょうか。何か失敗をしでかした時に振り返ることを「反省」という言葉のニュアンスに感じてしまったりします。
また近年、プラス思考、積極思考が強調されすぎるあまり、反省ということが軽視されたきらいもあるように思われます。
反省というのは、本来は、振り返ること、省みることです。PDCのCheck(検討)やPDSのSee(検討)という部分に値します。「検討」というと、実施する前にも「案を検討する」という風に使われますから、むしろ語彙的には「反省」という言葉の方が、CheckにもSeeにも相応しいように思えます。
いずれにせよ、仮説を立てる → 実施する → 検証する という最後の部分がいい加減では、次の仮説、Planが良いものが出きるわけはありません。
適切な反省は将来につながる
適切に反省するということは、達成できた、できなかったに関係なく、次の二点で将来を豊かなものにしてくれます。
●その対象に対する見識が深まる
●目標や達成手段(Plan)が更に適切なものになっていく
その対象の見識が深まるというのは、顧客に関連する目標であったなら、顧客や市場に対する見識が深まるということです。「ファイルの整理」などに関する目標であったなら、ファイリングや整理方法、ファイリングする文書そのものに対する見識が深まることになります。
更にいうなら、自分自身の行動の有り様を通して、自分自身の行動パターン、得手不得手などを知ることができますし自己自身に対する見識が高まる、という効果もあります。
達成してもしなくても、反省するというのは、次のように自分自身に問いかけてみることです。
●仮説は良かったのか、良くなかったのか
●良くなかったとすれば、どこが良くなかったのか、なぜ良くなかったのか
●この部分をキチンと整理することで、私たち自身の見識が高まっていくのです
反省の二つ目の効果である「目標や達成手段が更に適切なものになっていく」という点に関してはこうです。
●テーマ選定方法のコツがつかめる
●話のもっていき方、調整のポイントなど他者への働きかけ方を理解できる
●タイミング、スケジュールの取り方が巧くなっていく
このように、達成出来ても出来なくても、反省することを通じて、私たちは大切な資産を蓄積していくことができるようになるのです。
文責:田辺和彦